医師コラム

2024.04.03更新


最近、特定のサプリメントの摂取が
腎機能障害を引き起こす可能性があるというニュースが話題になっています。

 

腎臓で作られる尿は健康のバロメータであり、
「尿が泡立つ現象」は、時には健康上の問題を示していることもあります。

 

 

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ここでは、その原因となる可能性のあるいくつかの事項を、
わかりやすく説明します。

 

 

 

正常:多くの場合、尿を排出する際に強く力を入れ、
尿の流れが速いときに、水の流れや空気の混入によるもので、
ごく自然な現象で、心配する必要はありません。

 


脱水:身体の水分が不足している状態の時、
尿はより濃縮され、泡立ちやすくなります。

これは一般的に、水分を十分に摂取していない時に起こります。

実際、朝一番の尿、特に夏場は最も尿が濃縮されているため、
色も濃く、泡立ちやすい傾向があります。

 


蛋白尿:尿中にタンパク質が多く含まれている状態を蛋白尿といい、
腎臓が正しく機能していない可能性があります。
尿が泡立つ一因となり得ます。

このような状態では、腎臓が血液をきれいにする役割を正しく果たせなくなり、
尿が泡立つ一因となり得ます。

稀に、過剰なたんぱく質や特定のハーブ、
重金属などの成分が含まれるサプリメントがリスクを高めることが指摘されています。

 

 

その他:尿路感染症や尿路結石、糖尿病など、
尿に異常がある場合にも泡立つことがあります。
これらの状態では、泡立ち以外にも痛みや異臭などの症状が見られることがあります。

 

 

尿が時々泡立つことは普通に起こり得る現象ですが、

泡立ちが持続する、
または他の症状が伴う場合には、
医療専門家に相談することが重要です。

適切な診断と治療が必要な場合があります。

 

日常生活で十分な水分を摂取し、バランスの良い食生活を心がけることが、
健康を維持する上で重要です。

 

2024.01.23更新

みなさん、こんにちは。

今回は、昨年より当院で実施している
日帰りの膀胱がん手術 について、お話しします。

 

 


膀胱がんは、泌尿器がんの中で、前立腺がんに次いで多く、
尿に血が混じる、
肉眼的血尿
という症状で見つかることが多いです。

他のがん同様、早く見つけて適切な治療を行えば、高率に治る病気です。

 


膀胱がんの治療の中心は、経尿道的膀胱腫瘍切除術(TUR-BT)という手術で、
がんの確定診断と深さ(深達度)を判断します。

 

 

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この手術は
硬性鏡という真っすぐで比較的太く、硬い内視鏡を用いること、
電気メスを使用した切除を行うことなど から、
通常は全身麻酔や脊椎麻酔(下半身麻酔)で手術を行います。
このため、約1週間の入院となることが多いです。

 


TUR-BTで診断した、正確ながんの深さである深達度に応じて、
その後の治療が異なります。

 

約2割は筋層浸潤がある深いがんで、
膀胱を全部摘出する膀胱全摘という非常に大きな手術が必要になります。

 

約8割は非筋層浸潤がんといって、
基本的には膀胱を取らずに温存することが可能です。

ただし、こうした非筋層浸潤がんであっても、
約50%で術後再発を起こすという再発が多いという特徴があります。

 

 

実際、患者さんによっては、
TUR-BTを5回から10回も行うという場合もあります。
したがって、こうした患者さんは1週間の入院と手術を再度行わないといけません。

 

 


かしわ腎泌尿器クリニックには、慈恵医大で入院してTUR-BT手術を行ったのち、
術後の定期検査目的で通院している患者さんが沢山いらっしゃいます。

こうした方の中には、定期検査の外来膀胱鏡で、再発の膀胱がんが見つかる方も少なくありません。
こうした再発のがんは非常に小さいうえ、患者さんも高齢であることが多いため、
より負担の少ない治療ができないかということで、
昨年より日帰りでのTUR-BT手術を開始しました。

 


具体的には、

柔らかい膀胱鏡を用い、麻酔ゼリーを十分に行うこと、
特殊な切除器具を用いること、 で対応します。

 

これまでに約20例の手術を安全に実施できており、
今年の第37回日本泌尿器内視鏡・ロボティクス学会でも、
慈恵医大柏病院と共同で、その有用性と安全性を発表しています。


実際、過去に下半身麻酔が大変であった患者さんなどからは、
身体的負担も少なく、とても満足できたという話も複数伺っています。

 


この日帰りTUR-BT手術の適応は、
がんの大きさ、部位、個数など、
いろいろな条件で決定するので、すべての患者さんに当てはまるものではありませんが、
再発の多い膀胱がんでは非常に有用な治療だと考えています。

 

当院での検査や治療をご希望の場合は、
まずは受診でご相談していただければと思います。

 

 

 

2022.11.08更新

みなさん、こんにちは。

 

前回は、採血のPSA検査で

前立腺がんが予測できるということについてお話しました。

↓

採血で前立腺がんわかる?

 

今回は、PSA検査や直腸診などで前立腺がんが疑われた際、

確実にがんを診断する確定診断の方法、

前立腺針生検(はりせいけん)についてお話しします。

 

 

現在の医学において、エコー、CT、MRIなどの画像検査が発達とともに、

多くのがんが画像検査でみつかるようになりました。

しかし、それら画像検査は

あくまでがんを強く疑うという段階までの判断です。

 

最終的に、がんの確定診断は、

がんが疑われる組織を一部採取する「生検」と、

その生検で得た組織を顕微鏡で正常か悪性(がん)かを

専門の病理医によって判断する「病理診断」によって行われます。

 

実際、前立腺がんの診断にMRI検査が有用とされていますが、

MRIで診断できない前立腺がんも多く存在します。

われわれ泌尿器科医は、PSA値や直腸診などを含めて

複合的に前立腺がんが疑われた場合、

前立腺生検を行い前立腺がんの確定診断をします。

 

 

具体的な前立腺針生検の方法を解説します。


前立腺は肛門から指を入れると、お腹側に触れる部位に存在します。

生検1

 

 

前立腺がんの大きさや進行度によっては、

この直腸診により硬いがんを触れることもあります。


針生検は、肛門からエコーで前立腺を確認しながら、

直腸(お尻の穴の奥)、もしくは会陰(えいん、肛門と陰のうの間の皮膚)から

穴のあいた特殊な針をさして、針の中に組織を採取してきます。

 

生検2

 

 

みなさんがもっとも心配されるのは、生検時の痛みでしょう。

施設によっては、痛み止めのゼリーだけを使用して生検を行っていたため、

肛門の痛みを感じる方も一定数おりました。

 

当院では、2022年12月から経会陰的前立腺針生検を行いますが、

腰椎麻酔でしっかり痛みを取り除いた状態で生検を予定していますので、

ご安心いただけると思います。

 


麻酔のあと、生検は約10-20か所採取するのですが、

時間は10-20分程度で終了します。

 

生検の合併症ですが、一番多いものは出血で、

尿、精液、便に血が混じるというものですが、

数日から1か月程度で徐々におさまります。

 

他に、尿が出なくなる(尿閉:にょうへい)や発熱があげられます。

発熱は前立腺に菌が入り、急性前立腺炎となることが原因です。

多くは予防的な抗生物質で発症を予防できますが、

1-3%程度の割合で全身に菌が回る

敗血症(はいけつしょう)という重篤な感染症になる危険があり、

その場合は入院での抗生物質治療が必要になり、注意が必要です。


当院では、直腸からの生検よりも

こうした感染のリスクが低いとされている会陰からの生検を行います。


こうした発熱や尿閉がなければ、検査当日から通常の生活は可能で、

当院では日帰り生検を実施します。


約2-3週で生検結果はわかりますので、次回の外来で結果をお話しいたします。

 

 

このように、PSA検査で異常値であった場合、

前立腺針生検という精密検査が行われますが、

ご安心して検査をうけていただければと思います。

 

 

 

2022.08.02更新

 

みなさん、こんにちは。

前立腺がんが採血でわかるってご存じですか?

 

前回は男性で最も多い前立腺がんについてお話しましたが、

50歳以上の男性でもっとも多い前立腺がん

 今回はPSA(ピー・エス・エー)採血で

前立腺がんを診断がある程度可能であることをご説明します。

 

PSA検査で前立腺がん検診を

 

 

 

PSAは前立腺特異抗原(prostate specific antigen)というもので、

前立腺で産生されるタンパク質です。

前立腺がんでは、がん細胞自体がPSAを産生したり、正常前立腺組織を壊したりするため、

PSAが上昇すると考えられています。

 

前立腺がんの精密検査が必要と判断されるPSAの基準値は4.0 ng/mlとされています。

実際、下記グラフからわかるように、

基準値が4.0以上で前立腺がんの発見率が上昇します。

 

PSA検診

 *公益財団法人前立腺研究財団 「PSA検診 受診の手引き」(2017年版)より

 

 

この採血によるPSA検診ですが、多くの自治体の住民健診で実施されており、

2015年には全国約80%の自治体で行われております。

*公益財団法人前立腺研究財団 前立腺がん検診市町村別実施状況より

 

実際、当院近隣地域におけるPSA検診ですが、松戸市や我孫子市では行われているものの、

2022年現在、わが柏市ではPSA検診は実施されておりません。

柏市の50歳以上の男性のみなさま、

是非一度は、PSA検診をお受けになることをお勧めいたします。

 

実際にPSAが4以上であった場合には、

前立腺針生検という前立腺の組織を採取する検査が必要になります。

当院では慈恵大柏病院と連携しており、慈恵医大では一泊二日で行う検査ですが、

今後当院で日帰り生検も実施する予定です。

 

前立腺がんのPSA検診について

 

またPSA値は加齢とともに上昇する傾向があるため、

年齢により基準値を決めるという「年齢階層別PSA」という考え方があり、

50歳~64歳 は3.0ng/ml、65歳~69歳では3.5ng/ml、

70歳以上は4.0ng/mlも推奨されています。

すなわち、70歳よりも若い方ではPSAが4以下でも注意が必要な場合があることになります。

 

したがって泌尿器科医は、必ずしも4.0という値だけではなく、

年齢、エコーでの前立腺所見、前立腺の大きさ、直腸診での前立腺の硬さ、

PSAの経時的変化、MRI所見などを考慮しながら、

精密検査である組織検査の必要性を検討します。

 


次回は、前立腺癌の治療(概論)について説明します。



2022.06.27更新

みなさん、前立腺がんが増えていることをご存じでしょうか。


現在、日本人の2人に1人ががんにかかり、3人に1人ががんでなくなると言われています。
そのなかで、男性のがんである、前立腺がんが急増しています。

 


日本において1年間に新たに前立腺がんと診断された患者さんの数(罹患数といいます)
において、

1980年は3,944人でしたが、30年後の2010年には64,934人と16倍以上に増加しています 1) 。

部位別がん罹患数

 

 

2018年では、日本人男性がかかるがんの第1位となり、

約9人に1人の男性が前立腺がんにかかるとされています 1) 。

 

前立腺がんは9人に1人

 

 

とくに50歳をこえると、罹患率は急激に高まるため、

50歳以上の男性には注意をしていただきたい病気です。

 

 


前立腺がんになる原因は分かっていませんが、もともと欧米では男性に最も多いがんとさ
れ、

日本人が肉やチーズなどの動物性脂肪の摂取が増えたことなど生活習慣の変化が要因
の一つとされています。

 

前立腺がんの特徴

 


前立腺がんは、ゆっくり進行するタイプのがんとして知られており、

がんがみつかった状態に応じて、さまざまな治療法を選択することができます。

ただし、どのようながんでも早期発見、早期治療が有用であることには変わりなく、

前立腺がんでも定期的な前立腺検診をうけることが重要です。


特に50歳以上の男性では、前立腺がんの腫瘍マーカーであるPSA採血を受けることが大切
です。

 


次回は、前立腺検診であるPSA検査について解説します。


引用
1) 国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」(全国がん登録)

 

 

医師 三木淳

 

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