医師コラム

2025.08.25更新

こんにちは。院長の岸本です。

前回からの続きです。

 

当院での自己導尿の指導実績


2018年5月から2024年3月までに、

当院では79名の患者さんに自己導尿の指導を行ってきました。

2025年現在は、さらに当院での患者さんの数は増えています。

 

当院で自己導尿をされている方は男性が約6割ですが、

女性の患者さんも年齢問わずいらっしゃいます。

年齢層は20代〜90代までと幅広いです。

 

男性では「神経因性膀胱」「前立腺肥大症」「尿閉」などが主な理由です。

女性では、婦人科や膀胱の手術後に神経因性膀胱を発症された方も多く受診されています。

 

大学病院との連携を活かしながら、

術後のケア長期フォローも行っているのが当院の特徴です。

 

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〇中止できた方も多数いらっしゃいます


これまでに、自己導尿を導入した方の約70%(55名)の方が、

結果的に自己導尿を中止されています。

その中で一番多かった理由は「残尿が減ってきた」こと。

 

自己導尿によって膀胱機能が改善し、自然に排尿できるようになったという嬉しい結果です。

中止の理由はさまざまですが、当院では「続けること」だけでなく、

「やめるためのサポート」も大切にしています。

 

 

〇自己導尿に使用するカテーテルには、以下の2種類があります。


1再利用タイプ

洗って保管し、1か月ごとに交換します。経済的ですが管理が必要です。

2使い捨てタイプ

衛生的で外出時にも便利。

現在、当院の患者さんの約70%が使用しています。

 

使い捨てタイプは「スピーディカテ」などが代表的で、保険制度により自己負担が変わるため、

費用面も含めてご説明したうえで選んでいただいています。

 

 

〇最後に:安心できる自己導尿のサポートを目指して

患者さんが「できる」と思えるように私たちは寄り添います。

自己導尿は、決して「特別なこと」ではありません。

必要な治療として多くの方が行っており、日常生活の質(QOL)を守る大切な手段です。

当院では、導入から継続、中止まで、

患者さん一人ひとりの状況に合わせて看護師と医師が連携しながら丁寧に対応しています。

 

ご不安なことがあれば、いつでも遠慮なくご相談ください。

 

2025.08.14更新

 

こんにちは。院長の岸本です。

今回は「自己導尿(じこどうにょう)」という治療法と当院での実績や取り組みについて、

2回のコラムに分けてご紹介いたします。

 

 


〇自己導尿って、どんなこと?

 

通常は、トイレで自然におしっこをすることができます。

しかし、病気やけがの影響で次のようなトラブルが起きることがあります。

 

・おしっこがなかなか出てこない

・出たとしても、膀胱に尿がたくさん残ってしまう

 

このような場合に活用されるのが「自己導尿」です。

細いチューブ(カテーテル)を使って、

ご自身で尿の出口(尿道)から膀胱にたまった尿を出す方法です。

 

「カテーテルを使って、自分で尿を出すなんて、ちょっと怖い…」と不安になりますよね?

ご安心ください。

実際に多くの方が安全に、そして前向きに取り組まれている治療法です。

 

当院でも沢山の方が、安心して自己導尿を継続しています。

看護師が丁寧にサポート致しますので、不安な点、不明な点がありましたら、

遠慮なく、どんどん質問してください。

 

使用する器具

 

 

 

 

〇自己導尿には、こんなメリットがあります


自己導尿は、単に尿を出すだけでなく、次のような医学的にも大切な効果があります。

 

1. 腎臓を守ります

尿が膀胱に残ると、ばい菌が増えたり、腎臓に逆流し、

水腎症になり腎機能が低下することがあります。

自己導尿によって膀胱を空にすることで、腎臓の機能が悪化するリスクを減らせます。

 

 

2. 膀胱の働きを助けます

尿が残っていると、残尿が増え、本来尿を出すべく膀胱の筋肉が弱ってしまいます。

自己導尿で毎回しっかり出すことで、

膀胱が「収縮・弛緩」する本来の働きを取り戻すきっかけになり、

自身で尿が出るようになる可能性もあります。

実際、膀胱機能が改善(残尿が減ったこと)することで、

一日に自己導尿を実施する回数が減らせることもあります。

 

 

3. 尿路感染を防ぎます

自己導尿をすることで、膀胱の残尿にばい菌が入っても、

尿と一緒に流れだすことが可能となります。

そのため、感染リスクを下げることにもつながります。

 

 

 

 

次回は当院の取り組みと実績についてご報告したいと思います。

ナース

 

お気軽にご相談ください 泌尿器科 / 内科 / 腎臓内科 柏駅東口より徒歩3分 土曜診療あり

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