2025年が始まりました。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
先月、性感染症学会に参加してきました。
その中で、梅毒の母子感染についての発表を聞き、
妊婦健診の必要性を感じましたので、コラムにしてみようと思います。
最近、梅毒が増えていると聞いたことありますか?
特に、妊婦が梅毒にかかると、その感染が赤ちゃんにも伝わってしまうことがあります。
これを「先天梅毒」と呼んでいます。
先天梅毒にかかると、赤ちゃんに深刻な健康問題が起きることがあります。
例えば、
流産や早産
生まれてからの障害
など、赤ちゃんの命に関わることもあります。
今まで日本では毎年20例程度の報告がありましたが、
2023年には39例と先天梅毒の症例が増えました。
大阪市立総合医療センター感染症内科と大阪健康安全基盤研究所微生物部で行われた研究では、
先天梅毒を持って生まれた赤ちゃんの体内で、
梅毒を引き起こす細菌(Treponema pallidum)がどのように広がるかを調べました。
その結果、
死産した赤ちゃんや生まれたばかりの赤ちゃんの臓器から、
ほとんど全ての臓器で梅毒菌が見つかったことがわかりました。
さらに、血液の中からも梅毒菌が見つかることがありました。
これは、梅毒が胎盤を通じて血液に乗り、体中に広がっていることを意味しています。
この研究結果から、
妊婦が梅毒にかかると、その菌が赤ちゃんの体に広がり、
色々な臓器に影響を与える可能性があることがわかりました。
でも、良いニュースもあります。
梅毒は早期に見つけて治療すれば、赤ちゃんに感染させるのを防ぐことができます。
だからこそ、妊婦さんには定期的に妊婦健診を受けてもらいたいと思います。
自分と そして
何よりも大切な赤ちゃんの命を守るために。